MENU

懲罰交代がチームにとってプラスになることはあり得るのか

オナガの交代の件が他チームのことながら地味にずっと刺さってる。

試合後のコメントでは、懲罰交代っぽいニュアンスで語られてるのだけど、監督の思惑と違うアクションを取られたなら試合の後で伝えればいいのに、懲罰的な交代したら自分の首締めると思うんだけどなぁというのが率直な感想。
実際前半のオナガはめっちゃ効いてたし。チームとしては平河の動きに対する制限が減ったのでありがたいのだけど、それで本当にアチラはよかったのだろうか。

目次

うちのチーム…というか黒田さんのこと

黒田さんが徹底してて偉いなぁと思うのは、スタメンやベンチのメンバーの選抜を飴にも鞭にもしないところだと思ってる。「チームの勝率をあげられるか」だけに焦点を合わせてメンバー選抜することで、「選ばれなかった選手」に対する要求が物凄くシンプルなものになる。

例えば先日のヴェルディ戦、両チームを取り巻く思惑的なもので言えばバイロンの起用が期待されていた部分があると思うのだけど黒田さんは選ばなかった。自分が育てた、おそらく思い入れの強い選手だと思うのに選ばなかった。FC東京戦のSJもベンチ入りしなかったし、「古巣戦」みたいな周囲からの期待よりも「この試合の勝率を最大限にできるメンバーは誰か」のほうが黒田さんの中で優先度が高い…というかそれ以外の要素は殆どないんだろうと思っている。

このメンバー選抜の方針は、ある意味では非常に冷徹なイメージを持たれてしまうかもなのだけど、一方でものすごくフェアで、「選ばれなかった選手」が何をすれば選抜されるかについて迷わなくていいというのはすごく大きなメリットだと感じてる。
「監督に嫌われているから出れないんじゃないだろうか」「この間のプレーが気に入らなかったから目をつけられてるんじゃないだろうか」というところを気にしながら練習するのは極めて非効率だと思うし、選抜の基準が「監督から見た好き嫌い」でないということは、「仮に人間としては嫌われていたとしても、成果を出せば選抜される」というところでモチベーションを維持(いや、それだって相当キツイとは思うけどね)できるのは選手のメンタル上かなり良いことだと想像してる。

もちろん、出た試合で監督の意に沿わないプレーをしたら(そしてそれがチームの勝率向上に寄与しなかったら)、次の試合は出れない可能性が高くなるだろうけど、それは「監督が怒っているから」ではなく「勝率を上げられなかったから」なのだと理解することができれば、「じゃぁどうすれば勝率を上げられるのか」にフォーカスして考えていける。

で、あの交代はどうだったんだろう

…というところを踏まえて考えると(他所様のチームのことに口挟んで申し訳ないのだけど)、前節でのあのオナガ(と山田楓喜)の交代は、監督自身が「勝率を上げるための選択をした」とは正直考えにくい。もちろん長期的な目線で「選手にはチームの方針に従ってくれないと勝率が上がらないのでそのための懲罰的な交代だ」という考え方もあるのだけど、38試合しかない中で勝ち星の取り合いをしているわけだから、懲罰的な交代でその試合を落としてしまったら、チームとして1/38を失うことになってしまう。
反省を促すなら試合が終わってからいくらでも話せばいいことだし、そこが改善されないとチームとしてよろしくない、ということであれば次の試合で選抜されないという形で示せば良い。その形なら、次の試合のときには「監督から見て勝率を上げそうな選手」で選抜メンバーを埋められるので大きな問題ではないと思う。
ただ、既に自分の責任において選抜したメンバー(5人しか交代できないんだからベンチメンバーはかなり貴重なリソースだ)を懲罰的な交代に使ってしまうのはどう考えてももったいないと思う。

監督が「チームとしての勝率」よりも「(監督自身の気持ちの問題や、チームの規律を重視しての)懲罰交代」を優先させたのだとすれば、それは1シーズン38試合の中の1試合に対して軽く見すぎているように思う。
町田をチーム外から見たときにも「勝利にこだわるチーム」というイメージが根付いてきたようだけど(個人的にはプロスポーツで「勝利にこだわらない理由」があるとは思わなかったのでびっくりしてる)、こういうところの差異にもそのへんが出ているように思う。

昔話

他チームのことばかり書いていて申し訳ないので自チームの過去にも目を向けると、ポポさんも結構懲罰的な交代をする人だった。また、当時のチームのリソース量の問題もあったとはいえ、「選抜されているメンバーは監督から好かれていて、そうでない選手は選抜されにくい」という状況があったのではないかと感じさせる話もチラホラ耳に入っていた。
チームとしてどれだけ強くなるかは、どれだけいい練習ができるか、言い換えれば「試合に出れない選手のレベルがどれだけ高いか」に強く依存すると思っているので、「直近の試合に選抜されなかったメンバーのモチベーションが下がっている」という2022シーズンの状況は本当にまずかったと思う。実際、シーズン終盤の勝てなさっぷりはそういうところが露呈したという側面はあるだろうなぁと感じている。
もちろん、チーム全体としてのレベル感を上げていくことで「今一番いい状態の選手たち」で試合に臨めるというメリットは言うまでもない。

…ということで、直近の試合のあの交代はやっぱりよくわからんというか、今のウチの体制だったらしない交代だろうなと思うし、仮に懲罰的な交代だったとしてもそんなんわざわざインタビューで言わなきゃいいのにと余計なお世話ながら思ったのでした。

多分、メンバー選抜に関する話を他チームが真似しようと思ったら仕組み的には簡単に実現できるはずなんだけど、「監督が自分の感情を選抜に反映させない」「選手もそれを信じているという部分を浸透させるところが難しいんだろうなぁと思う。結局「選手もそれを信じている」を実現させるには「この監督は就任以来私情を選抜に反映させたことがない」という確固たる担保が必要で、「昨季まではそういう部分もあったけど今季からは変えます」と言われても、それを心の底から信じるのは難しいだろうから、やるんだとしたら監督が交代したそのタイミングでしか実現できなさそうな気がしてる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次