今シーズンは毎節レビューを書けるかなと思っていたのはもう2ヶ月も前、第3節のころでした。やっぱりなかなか「毎節書く」ってのは大変だなぁ。特に年度末で本業がアップアップになるとなかなか書けない。毎回更新される方々本当に尊敬します。すげえわ。
てことで久しぶりにレビューを書くわけですが、いやぁ…しんどいすね。4節から3連勝したあと、2-2の引き分け、0-1の勝利、2-2の引き分けと来てそこからまさかの0-2、1-0、0-1で、黒田監督体勢下で初の3連敗。相変わらず戦術のところはよくわからない人なので、選手の運用という部分での感想です。
率直な感想を言うと、「出場選手を固定して負けるのは最悪手」だと思っています。ほら、ゼルサポは2022シーズン(って割とつい最近なんですよね、実は。)の悪夢を忘れられないのですよ。
町田の2022シーズン
2022シーズン当時はゼルサポでなかった方に超絶かいつまんでお伝えするとこういう感じでした。
開幕直後は連勝で首位をキープしていたものの8節千葉戦(4/3)の引き分けから始まって15節まで4分4敗の勝ち星なし、そこから息を吹き返したかに見えたのですが、33節横浜戦(8/27)から最終節新潟戦(10/23)まで恐怖の2分8敗の勝ち星なしという2度の大ブレーキを踏んでしまったシーズンでした。あー思い出すだけでしんどい。
このシーズン、メンツは決して悪くありませんでした。てかむしろシーズン前は「こりゃ普通にJ1昇格狙えるぞ」という期待感にあふれていました。キーパーはポープ、福井、ディフェンスはおっくん、コースケ、深津、髙橋祥平、中盤に佐野海舟、髙江麗央、平戸太貴、宇野禅斗、長谷川アーリアジャスール、翁長、安井、前線にドゥドゥ、鄭大世、太田修介、ナカシ、平河悠という、今見たって豪華な顔ぶれ。これ、どう考えてもJ2で15位で終わるチームじゃないわけですよ。
このチームが何故15位で終わったか、もちろんいろいろな要因はあったでしょうけれども、一言で言うなら「メンバー固定」が一番大きな要因だったと思います。Football Labさんで2022シーズンの町田の選手の出場回数などのデータが見れますが、42試合のうちの9割(=38試合)以上出場している選手が翁長、おっくん、オータ、ショーヘイ、髙江、平戸、アーリアの8人(ここにGKが入っていないというのもそれはそれですごい話な気がする)。当時の監督ポポさんの構想ではここに佐野海舟が入っていたと思うのですが、海舟は6/5の20節までフル出場したもののオーバートレーニングで戦列を離れ、このシーズンはピッチに戻ってくることはなくシーズン終了後鹿島に移籍したのでした。
ちなみにこのシーズンのJ2の上位6チームの「出場38試合以上の選手数」を見てみると(最終節勝点順)、
新潟:6名
横浜FC:3名
岡山:4名
熊本:8名
大分:1名
山形:4名
仙台:1名
徳島:4名
東京V:2名
千葉:4名
長崎:2名
秋田:3名
水戸:1名
金沢:5名
山口:3名
栃木:1名
甲府:5名
大宮:4名
群馬:2名
琉球:2名
盛岡:0名
となっており、町田の8名は熊本さんと並んで「このシーズンのJ2で一番高い数字」になっています。

このシーズン、出場メンバーはかなり固定化されており、かつ、交代選手が出てもパフォーマンスが上がらない(選手個々人の資質というよりも主に連携面で)ということもあり、それがますますメンバーの固定化を促し…という悪循環になり、最後の10節勝ちなしの時期には、先発メンバーがヘロヘロになってもなかなか交代されない、場合によっては交代枠を残すようなこともあり、チームに対する印象としては「瓦解」という感じでした。
何故出場メンバーが固定されるのか&何が起きるのか
一般論として(つまり2022シーズンの町田云々ではなく)、出場メンバーが固定されるのは主に「出場メンバーとそうでないメンバーのレベル(必ずしも能力値ではなく)の差が大きい」こと、厳密に言えば、監督コーチ陣がそう認識していることに起因すると思われます。
これは鶏と卵の話になってしまうのですが、この状態が続くと出場メンバーとそうでないメンバーで試合勘であったり戦術の浸透に差が実際に生じてきてしまい、「もともと差があったとすればそれが拡大し、もともとの差がなくても差が生まれてくる」という現象が起きてしまいます。そうなるとますます「出場するメンバーは出場し、そうでないメンバーは出場しない」というまずいループに入ってしまいます。
この状態のまずい点は、連戦時や夏の時期に、出場組に疲労が蓄積してしまうという形で顕在化します。しかも、それが顕在化した結果、「体力に余裕がある時なら多少のズレはどうにかしてくれる出場組が、その余裕を失う」という更にまずい状況を引き起こし、なおのこと非出場組との連携が取れなくなっていきます。更に、「疲労の溜まったレギュラー組」を使い続けることは、「レギュラー組が更に疲弊する」という、より一層まずい状況を生みます。こうなると、レギュラー組を出せば疲労しているのでパフォーマンスが上がらず、非レギュラー組を出せば連携が取れずにパフォーマンスが上がらないという、どっちに転んでも勝てない状況になり、にっちもさっちも行かなくなってしまいます。
2025シーズン11節時点の状況
そういったあたりを踏まえて今の町田の11節時点での9割出場(=10試合出場)の選手を見てみると、なんと11人です。まるっと1チーム作れちゃうじゃん、というか、11人の顔ぶれを見てみると「いつものメンツ」という感じしかしません。
具体的には
ゴールキーパー 谷
センターバック 昌子、イボ、大八
ウィングバック 中山、林
ボランチ 白崎
シャドー 相馬、藤尾、西村
トップ オセフン
というのが10試合出場組の11人です。
いや、これ、まずいっしょ、と思うのですが、幸か不幸かこの数字は他のチームも似たりよったりです。
ただ、町田(を含めた数チーム)が他の多くのチームとかなり違う数字があります。それは「出場したことのある選手の数(とその割合)」です。
チーム名 | 9割出場選手数 | 9割未満出場選手数 | 出場選手数 | 9割出場選手割合 | 9割未満出場選手割合 |
---|---|---|---|---|---|
京都 | 10 | 14 | 24 | 41.7% | 58.3% |
鹿島 | 9 | 15 | 24 | 37.5% | 62.5% |
浦和 | 11 | 11 | 22 | 50.0% | 50.0% |
柏 | 10 | 12 | 22 | 45.5% | 54.5% |
福岡 | 10 | 13 | 23 | 43.5% | 56.5% |
川崎 | 13 | 16 | 29 | 44.8% | 55.2% |
清水 | 7 | 19 | 26 | 26.9% | 73.1% |
岡山 | 9 | 18 | 27 | 33.3% | 66.7% |
神戸 | 8 | 19 | 27 | 29.6% | 70.4% |
広島 | 10 | 10 | 20 | 50.0% | 50.0% |
町田 | 11 | 9 | 20 | 55.0% | 45.0% |
湘南 | 9 | 16 | 25 | 36.0% | 64.0% |
東京V | 10 | 13 | 23 | 43.5% | 56.5% |
G大阪 | 8 | 16 | 24 | 33.3% | 66.7% |
C大阪 | 8 | 16 | 24 | 33.3% | 66.7% |
F東京 | 8 | 18 | 26 | 30.8% | 69.2% |
横浜FC | 9 | 16 | 25 | 36.0% | 64.0% |
名古屋 | 7 | 18 | 25 | 28.0% | 72.0% |
新潟 | 5 | 22 | 27 | 18.5% | 81.5% |
横浜FM | 7 | 17 | 24 | 29.2% | 70.8% |
これは、Football Labさんのデータから作成したものですが、「9割出場した選手の数」よりも注目してみるべきは「9割未満出場の選手の数」や「出場したことのある選手の数」だと思います。
例えば川崎さんは、「9割出場した選手の数」は町田よりも多い13人ですが、「9割未満出場の選手の数」が16とかなり大きくなっていて「交代選手を多く使っている」ことを示しています。
そのあたりを踏まえてみてみると、町田は、そもそもの「出場したことのある選手」自体が20人でこれは広島さんと並んでワーストです(平均は24.35人、最大は29人の川崎さん)。更にいうと「9割以上」よりも「9割未満」が少ないのは町田だけです。これは端的に言うと「固定メンバー(11人)以外の選手、つまり固定メンバーと交代する選手の数(9人)がリーグで一番少ない」ということを示しています。
これはぶっちゃけ、非常にまずい状況なのではないかと思っています。ていうかまずい。明らかにまずい。
じゃぁどうするのか
状況は極めてまずいと思っています。戦術とかそういう以前に「実際に稼働する選手の数が少ない」は非常にまずいです。
じゃぁその状況を改善するために何ができるかというと、身も蓋もない言い方をすると「敗戦を恐れずにメンバーを大きく変える」ことだと思っています。
おそらく現状、監督、コーチ陣は「敗戦を避けるために大きくメンバーを変えずにやっている」状況だと思うのですが、結果だけ見るとここ数節は「出場組を疲弊させた上に負けた」ということになります。
メンバーを大きく入れ替えて試合に望んだら、敗戦する可能性は高まるでしょう。率直に言ってかなり高まります。でもそれによって得られるのは「休養を取れた出場組」「非出場組の底上げ」ですし、うまく混ぜれば(ていうか現実的には混ぜるでしょう)「非出場組と出場組の連携強化」まで見込めます。
繰り返しますが、ここ3試合を見れば「出場組は休養をとれず、勝点もとれなかった」なので戦略としては最悪手です。今、監督、コーチ陣に求められるのはここから先の数節を「敗戦をある程度覚悟したうえで、『出場経験のある選手』を増やす時期」と捉えて踏ん張る勇気だと思います。
ここ数節の敗戦は不運の結果じゃね?とも思うけれど…
正直なところ、ここ数節の敗戦はかなり不運によるものも大きいと思います。なので「3連敗したからレギュラーと非レギュラーを入れ替えろ」という話ではありません。
勝敗の問題ではなく、「出場できている選手が少ない」という事実に対し、それはかなり高い確率で悪い結果を招くのでそれを全力で回避すべき、というのが僕の思いです。
ここで悪いニュースと良いニュースがあります。悪いニュースは「まだACLも始まってないし夏でもない」という事実。良いニュースは「まだACLも始まってないし夏でもない」という事実です。
それって同じニュースじゃん!!!
いや、本当にそう思ってます。「まだACLも始まってないし夏でもない」という時点でレギュラー組が連戦で疲弊しているのは非常にまずいと思う一方で、「まだACLも始まってないし夏でもない」ので、今からやれることはたくさんあるという点ではポジティブな側面もあると思っています。今ならまだ、比較的いい気候のうちにいろいろな選手を試すことができます。
これが夏になったりACLが始まったりしてから「やっべー」となっても間に合いませんが、今ならまだ間に合います。
ここ数節のリーグ戦は落とすかもしれませんが、そこで得られるものは失う数節の勝点よりも大きいと確信しています。
大丈夫。数節負けが続いても、その結果順位が下がっても、我々町田のサポーターはついていきます。今から来る暑い夏、ACLによる連戦の時期に、僕らが愛する町田が今よりもより一層強くなっていることを信じてついていきます。
ひょっとしたら「勝ち続けないとサポーターが離れちゃうんじゃないか」と心配しているのかもしれません。それもよくわかります。ぶっちゃけ多少は動員も落ちるかもしれません。でも我々町田のサポーターはついていきます。試合の後に辛い表情をしている選手を見るのはしんどいものです。シーズン終わりに最悪の結果になったら、選手はもっと辛い表情をするでしょうしそれを見る我々はものすごくしんどいでしょう。それを避けるためなら、多少の痛みがあっても我々町田のサポーターはついていきます。町田サポ舐めんな。
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